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大阪地方裁判所第二刑事部、平成8年(わ)第3809号わいせつ図画公然陳列被告事件、平成9年2月17日判決(確定)
主 文
被告人を懲役1年2月に処する。
この裁判確定の日から3年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
(犯罪事実)
被告人は、インターネット接続専門会社である株式会社〈社名略〉の会員であるが、インターネットを利用し、わいせつな図画を不特定多数のインターネット利用者に閲覧させようと企て、平成8年9月17日ころから同年11月7日までの間、大阪市〈住所略〉の被告人方自宅において、男女の性器や性交場面等を露骨に撮影、描写したわいせつ画像に「エフ・エル・マスク」と称するマスク付け外しのソフトを用いてマスクを付したデータ合計155画像分を順次、東京都〈住所略〉所在の右株式会社〈社名略〉の会社事務所に設置されたサーバーコンピュータに送信し、同コンピュータの記憶装置であるディスクアレイ内に記憶、蔵置させるとともに、右マスク付け外しのソフトの入手及び同ソフトを使用すれば右画像に付されたマスクが容易に外せる旨の情報データを、右同様にディスクアレイ内に記憶、蔵置し、インターネットの接続設備を有する不特定多数のインターネット利用者が、電話回線を利用し、右各データを受信して右わいせつ画像からマスクを外して復元し、元の画像を閲覧することが可能な状況を設定し、右各データにアクセスしてきた〈氏名略〉ら不特定多数の者に右各データを受信させて右わいせつ画像のデータを再生閲覧させ、もって、わいせつな図画を公然と陳列した。
(証拠)〈省略〉
(法令の適用)〈省略〉
(量刑の理由)
本件は、コンピュータによるインターネットシステムを用いて、被告人の開設するホームページにアクセスしてきた不特定多数の者に対して、わいせつな画像を閲覧させたというわいせつ図画公然陳列罪の事案であるが、今日社会一般にコンピュータが急速に普及するとともに、新たな情報伝達システムとしてインターネットシステムが開発され、あらゆる分野において画期的な情報伝達方法としてこれからもその有効な利用方法が模索されなければならない状況であるにも拘わらず、本件のような興味本位の利用方法が広く流布していることは、憂慮に耐えないものと言わなければならない。本来、インターネットの利用者が、それぞれの努力によって、そのシステムを健全で、有益なものとして育て上げなければならない責務があると言うべきであるが、被告人は、自己の借金の返済のため、被告人が提供するホームページ上のわいせつ画像データを閲覧したいと欲する不特定多数のインターネット利用者から会費を徴収し、右わいせつ画像を閲覧させていた者であって、インターネットの利用者としてのモラルに欠けるところがある上、本件は模倣性も極めて強い犯行であることを考えると被告人の刑責は重大であると言わなければならない。
しかしながら、被告人は、本件犯行を素直に認め、反省の態度を示していること、業務上過失傷害罪の罰金前科があるのみで他に前科がないこと、既にパソコンインストラクターとしての職を得て、自力更正の道を歩んでいることなど、被告人に有利な事情を総合考慮して、被告人には、主文のとおり、執行猶予に付するのが相当である。なお、被告人は、パソコンインストラクターとしての職業に就いているのであるから、今後は、パソコン及びインターネットシステムの健全な発展に貢献することを望むものである。
よって、主文のとおり判決する。
平成9年2月17日
大阪地方裁判所第二刑事部
裁判官 田中正人
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